太鼓を叩くコツのポイントの一つが、力まないことです。
太鼓で大きな音を出すコツは、バチの重さを速く太鼓の革に伝えることです。
力んでしまうと、スピードが遅くなるのと、バチの跳ね返りを妨げ革の振動の邪魔をしてしまうので音が濁ります。

物理で、運動量という考え方がありますが、「運動量」は、「質量」かける「速さ」で現わされます。
  P(運動量)=m(質量)×v(速さ)
運動量が大きいほど太鼓の革に伝わる運動量が大きくなるつまり音が大きくなります。
簡単に言うと、重めのバチを速く太鼓に当ててあげれば音が大きくなるわけです。
太鼓の革の強度とかの問題もありますので、バチの材質や重さには限界がありますし、重いバチの扱いは難しくなるので、バチは限られてきます。
ということは、音を大きくするためには、バチを速く動かすのがポイントとなります。

「力んでいる」とはどういう状態でしょうか。
私の持論ですが、筋肉は、収縮することで力を発揮します。
例えば、腕を伸ばす場合、腕を伸ばす筋肉を収縮して腕が伸びますが、その筋肉に拮抗する腕を曲げる筋肉が、腕が伸びすぎないように肘を守るためにバランスを取りながら腕は伸ばされます。
力んでるときは、その拮抗する筋肉に力が入りすぎて動きを妨げている状態だと思います。
力みを取ることで筋力のバランスが最適化され、素早く動くようになります。
私が教えていた中で、自分もそうでしたが、男性は、力みがちな方が多いと思います。
太鼓は力強く打つものだと思っている方が多く、その傾向は男性に多く見られます。
一方女性は、力で勝負するよりも、動きのきれいさに意識を置いている方が多いように感じています。
動きがきれいということは、無駄な動きがなく力みも少ないので、きれいで大きな音が出ます。
力強い荒々しい太鼓もいいですが、認識を変えて、バチの重さを生かして、素早く美しい軌道でバチを振り太鼓を叩くと、より上達すると思います。

また、バチを早く動かすには、振りをなるべく大きくするのもポイントとなります。
振りを大きくすると、速くバチを動かさないとリズムに合わなくなるので、自然とバチが早くなり音が大きくなります。
また、見た目の迫力も出てくるのでおすすめです。

構えた状態から打つ場合は、溜めてから打つのもポイントとなります。
溜めて打つことで、リズムに合わせて打つためには、バチを早く動かさなければいけなくなるからです。

このことは、他の運動にも言えることで、運動が苦手な方をよく見ていると、余計なところに無駄に力が入っていたり、無駄な動きが多いいように感じます。
無駄な動きを削除して、なるべくリラックスした状態で、その動きを美しく行うようにするだけで、だいぶ変わってくると思います。