今回も、昔の思い出話です。
高校時代に、地元で太鼓を教えていた時の教え子にすごく泣き虫の男の子がいました。
素直でかわいい子でしたが、不器用で、なかなか上手くできませんでした。
ドドンガドンカラッカッカができなくて、悔し涙を流していました。
私も一生懸命教えていましたが、それでも上手く叩けませんでした。
練習の時間は、多くの子を教えていた関係で、その子だけにかかりきりになれなかったので、親御さんにお願いして、その子の家の前で特別レッスンをしてあげました。
初めは、なかなかできませんでしたが、徐々にコツをつかんできて、何とか叩けるようになってくれました。
盆太鼓で、一番難しいのは、このドドンガドンカラカッカなんですよ。
ほとんどの盆太鼓の技は、「ドドンガ」「スットン」「ドドツク」の基本技の応用なので、この3つの技ができるようになれば、そんなに難しくはないんですよね。
ドドンガドンカラカッカが、一番の基本の技なんですが、これができるようになるのがなかなか大変なんです。
右を2回叩いて、半拍休んで左を叩くんですけど、できない子はここで、引っ掛かります。
また、盆太鼓の落とし穴で説明した通り、「ドドンガドン」がひとかたまりだと思って叩いているので、そこでも躓くんですよね。
センスのある子は、苦も無くできるのですが、私を含め不器用な子は苦労するんですよ。
泣き虫の子もなんとかできるようになった後は、太鼓にのめりこんだようで、本当によく頑張っていました。
数年前に、久しぶりに、お祭りを見に行くと、その泣き虫だった子が、太鼓を教えてくれているそうで、苦労してるみたいですが、本当に楽しそうに太鼓を叩いていました。
久しぶりに見たその子の太鼓は、もの凄く上手になっていたので、とても驚きました。
自分が、子供の頃、地元のおじさんや、お兄さんお姉さんに教わり、私が教えるようになり、その後、私が教えていた子が、その地域の子を教えていてくれたことに感動と感謝の気持ちでいっぱいでした。
こうやって、文化や伝統は継承されていくんだなと感動しました。
今住んでいる地域で、太鼓を教えていますが、私がいつか死んだ後も、私が教えた子の中から、私が子供たちに太鼓を教えているように、教えてくれる子が出てくると良いなと思いながら教えています。
